改訂版『自分でできる相続税申告』が発売されました

相続税相談の現場から

『自分でできる相続税申告』の改訂版(第2版)が、昨日発売になりました。

自分で相続税申告をしてみたい、という方のお役にたてばうれしいです。

旧版→改訂版で変わった点

増刷の都度、民法や税法の改正については修正を加えていましたが
ひな型などが古いままでしたので、2023年4月時点で最新のものに差し替えました。

また、令和5年度の税制改正で大きく変わった

・ 暦年課税贈与の相続税への加算期間延長(相続開始前3年→7年)
・ 相続時精算課税制度の見直し(基礎控除年110万円の新設)
・ マンションの相続税評価の適正化

などは、相続税申告に影響が出るのは少し先ですが、巻頭部分でおおまかな概要を説明しています。

その他、少しでもわかりやすくなるよう、図や文章など全体的に手を入れました。

当時は手探り

5年以上前に本書を企画したときは
「自分で相続税申告をしたい」というニーズがあるのかさえ、まったくわかりませんでした。

資産家の方なら、報酬がかかっても税理士に頼んだ方が
判断が早く的確で、お金も時間も節約できますし。

ただ、「遺産は自宅と預金だけ」とか
「配偶者や自宅の特例を使えば相続税はかからない」といった方なら
自分で申告書をつくることも可能なのでは、と思い

どういう章立てにしたら、一般の方でも実際に申告書をつくれるか
どの程度まで専門用語を使わずに説明したら、わかりやすいか

と、当時は類書もない中、ひとつひとつ手探りで作っていきました。

なので、旧版を読んで下さった方が多くいらして
改訂版を出せるほどのロングセラーになったことは、とてもありがたく思っています。

土地の評価はさらに減額できることも

「相続税申告にチャレンジしたけど、途中で挫折した」
「作ってはみたけれど、間違いがないか見てほしい」

そういって、ご連絡を下さる方もいらっしゃいます。

土地の評価は比較的、みなさんきちんとできていますが
評価額が過大になっているケースで、実際にあったのは

・ 土地の一部を私道として使っている(私道の減額可)
・ 土地の前面道路が狭いので、将来セットバックが必要(セットバックの減額可)
・ 故人の自宅の横に親族の自宅があり、一体で評価すれば、地積規模の大きな宅地の評価が適用可

などですね。

ちなみに、過去には2人だけ、非上場会社の株価評価にチャレンジされた方がいましたが
こちらは誤りが多かったと記憶しています。

申告書や財産評価のチェックなども、有料にはなりますが、もちろんサポートさせて頂きます。

何かあれば、どうぞ遠慮なくご相談ください。

-相続税相談の現場から

関連記事

「亡くなった人判定」から「もらった人判定」へ

※平成30年4月追記済 「自宅の土地の8割引特例」とは、亡くなった人の自宅の土地は、一定の面積(330m2)まで8割引で相続税を計算できるという特例です。 「自宅の土地の8割引特例」の条件 この特例が …

贈与の前に母の長生き対策を

生前贈与が相続争いの火種を作る原因に 相続税の軽減対策ではなく、相続対策、つまりもめない相続を目指すという観点からは、生前贈与を行わない方がいいケースが多くあります。 生前贈与を考慮して相続時の取り分 …

生前贈与 契約書で証拠残す

孫名義の口座に毎年110万円ずつ振り込み、生前贈与しています。 無駄遣いを防ぐために本人には知らせていませんが、問題ありませんか? 誤解だらけの生前贈与 生前贈与についての誤解をよく耳にします。 「家 …

「自宅の土地の8割引特例」の勘違い

最近は、相続税の特集を組めば雑誌の売れ行きがよいそうで、小規模宅地等の特例(いわゆる、自宅の土地の8割引特例)に関する記事も増えました。 でも、税理士の立場から見ると、他の相続税の記事に比べて間違いが …

高齢になった親の家 早めの売却も選択肢

自宅の階段の昇り降りがつらくなったと、実家の母がこぼしています。 親の自宅を売るタイミングによる税負担の違いがあれば教えて下さい。 親の自宅の売却、そのタイミングは? 「親の自宅をいつ売るべきか」とい …